日本橋鮒佐だより

江戸前佃煮について

カテゴリー: 投稿日:2018年2月13日

江戸前佃煮の名前の由来

本来の江戸前の意味

”江戸前”と申しますと本来は地産地消の観点から「東京湾近郊で取れた原材料を使用し加工した物」を指す様ですが、

 

近年では「東京の地場産業」という括りで”江戸前”と付ける風潮の様です(江戸前寿司も同じ傾向にあると思っております)。

私共が創業以来続く佃煮の呼称を江戸前としたのは、1980年代の百貨店のバイヤーや営業推進からの影響が大きかったのではないか、と推測しております。(日本橋鮒佐を紹介する謳い文句として「江戸前佃煮の代表格」という様に紹介されている、昔の広告のスクラップを見つけそう感じております。)

昔の広告のスクラップ

 

 

 

 

まろやか佃煮の登場

私共が江戸前佃煮と自分達のカテゴリーの中に使い始めたのは、27年前、1991年(平成3年)の出来事です。

この頃は年を経るごとに食のバリエーションが豊かになり、世間の味の嗜好が辛口よりも甘口、濃口よりも薄口に大分傾いていた時代でした。

1980年代、私共の佃煮は”江戸前”の味付け一本のみでした。昆布、ごぼう、しらす、あさり、海老、穴子、鰻季節により小はぜ、はす、芝海老、生海苔…

これだけで商売しておりました。

 

嗜好が変わり始めたのを感じたのは、これもまた百貨店の影響が大きかったのでしょう。ご新規のお客様から”味が辛すぎる”とのお声を多く頂戴しておりました。

 

 

ただ、本来の味を崩してしまっては今までのお客様に迷惑がかかる。今の主人はご新規のお客様の声に応えるべく、カテゴリーを増やして”減塩志向”の佃煮を開発する事にしました。それが”まろやか”佃煮というカテゴリーです。

まろやか佃煮が登場した頃のカタログ

 

 

 

 

 

 

当時のコンセプトは”減塩、割烹風味”一本でした。今では数回のリニューアルを経て”程よい甘辛さ、柔らかさ、薄味”というコンセプトの元に製造しております。

まろやか佃煮が出た事で江戸前佃煮がうまれた

このコンセプトワーク、変遷ついてはまろやか佃煮のお話をする際に詳述するとして、まろやか佃煮カテゴリーを作った際に、今までの佃煮を括る必要が出てきました。そこで、本来の味付けの物を”江戸前”という括りにして、製法や味付けで区別することにしました。

 

以上が私どもの”江戸前”という呼称が”江戸前の原料を煮込んだ佃煮”という意味合いではなく、”江戸時代から続く製法を維持した佃煮”という意味合いで使用している由来です。

 

1980年代のカタログ。どこか懐かしさを感じます。

 

 

 

 

 

 

江戸前佃煮の製法

さて、その製法についてですが、

江戸前佃煮は、創業から現在まで156年その製法を維持し続けてきた、醤油味が強い昔ながらの辛口佃煮です。

江戸末期から明治初期にかけては、シンプルに醤油で煮た辛口佃煮は食通の間では酒の肴であったといわれております。

昔の人たちは、加工品においては辛い、甘いの度合が強いものを高級だとする価値観があったようです。

 

 

江戸前佃煮は、醤油、砂糖、みりん、タレのみを使用する非常にシンプルな物です。

江戸前佃煮に使用するタレ

ですから、タレさえあれば醤油や砂糖のブランドを私どもと同じものを使用すれば同じものが簡単に作れます。(私どもでしか作れないのはタレがあるからといっても過言ではありませんが..)

 

しかしながら、タレは別に秘伝といわれるような何か特別な物では実はありません。

 

江戸前佃煮に欠かせない”タレ”

タレ、とは佃煮が煮上がった後の煮汁の事を指します。

佃煮の製法は、”煮る”と“炊く”に大きく分かれ、その中で私共は前者の製法をとる為、煮詰めて上げる(汁気を残したままザルにあけて汁気を切る)ので煮汁が残ります。これが「タレ」の素になります。

 

様々な物を煮込む事で昆布や浅利、穴子や鰻の旨味がタレに残り、ごぼうやはす(蓮根)といった根菜類の香りが残ります。

(これはご家庭でも趣味で出来るかもしれません。煮汁を使い回して熟成させると深い味付けの佃煮がお楽しみ頂けることと存じます。)

 

さて、タレはそのままですと煮詰まったままですので、ドロドロしていて調味に使用すると煮詰まりが早くなり品物が固くなる割には中まで染み込んでない感じになってしまいます。調理に差し支えない程度まで鰹だしと昆布だしをブレンドしたものを入れて薄めて使用します。

 

江戸前佃煮の製法

江戸前佃煮は、強火であおり、徐々に火力を落としていき煮詰めます。

煮上がりまでの時間が30分~60分と、比較的短時間にあっという間に煮詰めますので、煮物の時間中はその場から離れないようにします。

その煮詰め方も”煮たつ泡をみて、蒸発する湯気を見て”状況に応じて火力を調節するもので、その製法は繊細な物であると感じております。これは、佐吉が常々言っていたという、「佃煮の煮方は真剣勝負」という言葉そのものなのかもしれません。

 

それを継続し、維持し続けてきたのが江戸前佃煮です。

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